子供の成長に合わせて住まい方も変化してしまいます
「家」を考える時、「今」を基準に考えることが多いと思います。
「うちは2世帯の6人家族だから、両親の部屋と自分達の部屋、子供部屋が2室の4部屋は必要だな」とか。「車は両親と自分達で4台置けないと困るな」と、今を基準に考えることが多いと思います
そんな中、考えているようで考えていないのが「子供の成長」です。
「え、だって子供部屋を2部屋考えているじゃないか」と言われる人も、いらっしゃると思いますが、大人になった子供のことを、何処まで考えていますか。
子供は時と共に、体が大きくなり大人になります。高校生くらいになると大人が6人の家族という状態になります。
大人6人だと8帖のリビングでは狭く感じます。ダイニングテーブルも昔は4人用のテーブルでよかったのに、狭くて座れない人が出てきてしまいます。
両親はお座敷で、他の家族はダイニングで食事というバラバラ状態も起きてしまいます。更に、駐車場が4台から6台分必要になってしまうこともあるでしょう。
子供を子供として見ないで大人として数に入れて考える必要があります。
そして、考えられる未来の変化に目を向けてください。今だけを見ることはやめましょう。
大人が増える話ばかりをしていますが、減ることもあります。人間である以上、避けては通れない「死」という現実があります。一般的には両親が先に亡くなります。
家として考えた場合には1人分のスペースが広くなったという事になります。
又、子供が大学に行くとなると、家から出て行く事になります。1人分のスペースがまた空くということになります。結婚して減る場合もあれば、増える場合もあります。
減る場合は、今まで狭かった部屋にポッカリ穴が空いたように感じてしまいます。人が少なくなると何か寂しさを感じてしまいますね。
多くの家庭では、上記のように、家を使う人数が刻々と変化していきます。
家は人数の変化にもある程度対応出来なければなりません。それには将来を見据えた家造りをする必要があります。
家族に変化があった時、対応できる家造りをしていきましょう。
「変化」は家族の人数だけではありません。子供の友達の変化などもあります。
幼稚園の頃はリビングで遊んでいた子供達も自分の部屋に友達を呼ぶようになります。異性の友達が遊びに来ることもあるでしょう。
各家庭で状況は違うでしょうし、予測することも不可能な話ですが、考えられる可能性は考慮した方が良いかと思います。
子供との係わりは友達関係だけではありません。親子のコミュニケーションも子供の成長と共に変化していきます。親に内緒の子供の世界や思春期もあります。親を煙たがる時期もあるでしょう。そんな時は、間取りがコミュニケーションに大きな影響を与えます。
よくある話は玄関ホールに階段があり、子供が玄関からそのまま2階の自分の部屋に行けてしまうケースです。
子供が「ただいま」も言わずに2階に上がってしまっては、いつ帰って来たのかもわかりません。
これでは、コミュニケーションの取りようもないというのが現状です。
もし、階段がリビングにあり、リビングを通らなければ2階の自分の部屋に行けない間取りになっていたらどうでしょうか。
親も帰宅に気づくでしょうし、子供も顔を合せれば「ただいま」と言うかもしれません。小さい頃からの習慣もあると思いますが「あいさつ」というコミュニケーションの取り易い間取りを造ることは可能です。
「間取り」によって解消できる家族の問題もいっぱいあることは事実です。
家がその家に住む人に与える影響は多大なるものがあります。その現実に目を向けてください。
それには、家族に何が必要かを考える必要があります。
●これから家を新築する方へ
家の大きさ、部屋の大きさを決める時には、その家を常時使う人の人数に合わせて考えましょう。来客などは一時的な変化として考えることができますが、毎日いる人の数に合せた広さは必要です。6帖のリビングに大人が常に6人いるという状況はかなりきついです。リビングダイニングを一体にするなど、部屋を広く使える工夫が必要となります。
◇道先 案内人(みちさき あんないと)のお勧めは、家族年表の作成です。
刻々と変化していく家族の様子を年表にしてみましょう。
人の増えそうな時、減りそうな時を把握して間取りを考える時に、生かしましょう。
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